「今年買って良かったもの」
今年我が家は3年ぶりに引っ越しをしました。
引っ越しをすると、間取りや生活様式が変わり、新しい部屋に合わせた必要なものが出てくるので、必然的に買い物も増えるため、例年に比べ今年は生活用品をたくさん買ったように思います。
そんな中、今日は私が「これは買って良かった」と思うモノを3点ご紹介します。
その① ゴッホのポスター
実家に自分の部屋がなかった私は、10代の頃ずっと「大人になったら絶対1人暮らしして部屋に映画のポスターを飾るんだ!」ともくろんでいました。
そして私は20歳になるやいなや、お金もないフリーターのくせに家を飛び出して1人暮らしを始め、引っ越した翌日には電車に乗って隣街の駅ビルにあるLOFTにポスターとフレームを買いに行ったんです。
当時はまだインターネットが普及してなかった時代。
一般人が「事前にネットで値段をチェックする」という習慣はなく、売り場でフレームの値段を観た私は、愕然とした記憶があります。
思ったよりもずっと高かったんですね。
私の欲しいポスターサイズが収まるフレームは90センチ×70センチくらいのもので、確か4千円くらいしました。
ポスターも買うと総額5千円を超えてしまい「全部で3千円くらいで済むかな〜」と甘く見積もってた私は売り場でしばし立ち尽くしてしまいました。
サイズをひとつ下げれば2500円くらいのものがあったのですが、私はどうしても憧れの映画ポスターをででーんと部屋にかっちょよく飾りたかった。
なので4千円のフレームと映画「ベティブルー」のポスターを、清水の舞台から飛び降りるつもりで「えーい、ご飯なんて何日か抜いても死なない!」と思いながら買いました。
ポスターがニョキリと突き出てた大きなフレームの入った袋を抱えて電車で帰るのは少々骨が折れましたが、幸せの黄色いハンカチならぬ幸せの黄色いLOFT袋といった感じで、念願のものがやっと手に入った幸福感に酔いしれたことを覚えています。
さてそのフレームですが、最初は「ベティブルー」のポスターを飾り、飽きた後は映画「時計じかけのオレンジ」のポスターを飾りました。
その後は私がイラストのコンテスト用に描いた自作のイラストを飾っていました。
それで2011年までは自作イラストを飾ってきたのですが、震災の時に我が家もわりと揺れてフレームが落下し、後ろのパーツがちょっと欠けてしまったんですよね。
ボンドで修繕すれば直りそうだったのですが、時間がある時に直そうと思って一旦フレームを物置にしまうと、なんとそのまま5年も放置してしまいました。
5年の間には何度か「直すの面倒だし、捨てようかな。絵なんか飾らなくたって死なないし。」と、20歳の頃とは真逆の事を思った時もあったのですが、取り出してフレームを観るとやはり買った時の思い出がこみ上げてきて「いや!捨てられない!!」とまた戻していました。
実は私は30代になってからモノを持たない主義になったので、たいがいのものは躊躇なく捨てられるのですが、独身の貧乏時代に思い切って買った記憶がある物はやはり特例な思い入れで、捨てられないんですよね。
そんなわけで、ずっとしまってあったフレームなのですが、今回引っ越した部屋には玄関にちょうど物をかけるフックがついていたので、「よし!フレーム直してちゃんと飾ろう!」と 思い立ちました。
それでフレームは直したのですが、中の絵が自作のイラストなことがちょっと恥ずかしくなりまして、いえ、あの、イラスト自体は好きなのですが「客人と『これ、描いたの?』『昔ちょっとね…』みたいなやりとりをしたいが為に自作イラストを飾る人」な感じが自分では恥ずかしくなってきたというか、たぶん20代の頃に好きなものを部屋中にちりばめてインテリアでバリバリに自己主張をしてきた反動かもしれませんが、歳をとったら「あんまり部屋に特別な意味を持たせたくなくなった」んですね。
で、絵は変えようと思ってさっそくAmazonで検索。
イラストや写真よりも正統派の画家の絵がいいな~と思い、そうなると私は画家の中でとりわけゴッホが好きなので、とりあえず「ゴッホ ポスター」で検索しました。
わーいっぱいある。8000件くらいヒットして、数々の名画から選べました。
「星月夜」が好きだけど玄関に飾るのでなるべく明るい色味にしたいし、かと言って「ひまわり」だとベタすぎてなんか嫌、いっそゴッホやめてモネにする?いや、モネを飾るほど格調高い家ではない…ああゴッホのチューリップ畑の絵すごいいいわー、でもサイズ小さいのしかないじゃん、なんだよちくしょー
そんな感じでなんやかんやと1週間ほどかけて楽しく選び、結局私が買ったのはこちらのポスターです。
あえてゴッホの代表作は避けて探し、明るい色味で牧歌的な雰囲気の絵にしました。
ちょっと私の地元にある梅林に景色が似ているところもホームシック気味の心にグッと来たので、これにしました。
フレームにおさめて玄関に飾ったところ↓
うん、いい。
眺めててぼんやり思ったのは「たしかに絵なんか飾らなくても死にゃあしないが、こうやって好きな絵を飾って眺める度にいちいちキュンとなる作用が積み重なって、人間の寿命が延びるとかって、あるのかもしれんなぁー」ということ。
上手く言えませんが、毎日家の出たり入ったりの度に「あ、この絵、好き」と思うことが「心と体良さそうな感じがした」というか、使い古された言葉ですが「金銭的ではない豊かさ」?みたいなことを「実践してるなぁ、自分」という悦に浸れました。
フレームも5年ぶりにまた活躍できて心なしか良いことをした気分になりました。
ゴッホのポスター買ってよかったです。
その② 野田琺瑯のドリップケトル
野田琺瑯は「のだほうろう」と読みます。
野田ほうろうは「『前前前世』の印税で放浪の旅に出そうな野田洋二郎」の略ではないです。
琺瑯(ほうろう)は、鉄、アルミニウムなどの金属材料表面にシリカ(二酸化ケイ素)を主成分とするガラス質の釉薬を高温で焼き付けたもの。「ホーロー」と表記されることも多い。英語では Enamel(エナメル)
だそうです。
鍋や食器でよく見かける「金属なの?陶器なの?」みたいなやつで、山の中の滝とか湧水のそばに「これで飲めば?」的に置いてある謎のコップもよくホーロー製だったりします。あと年寄りの家の歯磨き用コップもホーローが多い。
で、野田琺瑯のドリップケトルを買ったいきさつなんですが、私は数年前までコーヒーが飲めなかったんですね。
今思えば、初めて飲んだコーヒーが缶コーヒーで、それが美味しくなかったせいで「コーヒーはマズい」と擦りこまれて、なるべく避けてきた上にたまにやむを得ず飲んだコーヒーも多分インスタントコーヒーだったのか、やはり「わざわざ飲むほどのもんじゃないな」という感想でした。
ですが、数年前にコンビニのドリップコーヒーが出た当初、夫が飲んでいるブラックコーヒーをなんとなーく飲んでみたところ、あら美味しい!
それで「豆から挽いたコーヒーは美味しい」ということをこの時実感したんです。
なんか、それまでもその説は聞いていたものの、豆から挽くコーヒーはちゃんとした喫茶店でしか置いてなくて、喫茶店のコーヒーって500円くらいするし「お試しに飲んでみて不味かったらヤダ」ってことでお試しすら出来なかったんですよね。
でもコンビニコーヒーを知ってから、コーヒーが飲めるようになって結構好きになってきたわけです。
そうなると、自宅でもドリップコーヒー飲みたいなーとなり、道具がないので買いそろえることにしました。
コーヒーミルとコーヒーサーバーは普通のお店で気に入るものがあって買ったのですが、ドリップケトルの良いのがそのへんで売ってない。
ちなみにドリップケトルとはふつうのやかんに比べて注ぎ口が細長く、お湯が冷めにくい構造をしているもので、まぁ「コーヒーを淹れるのに都合良くなったやかん」だと思って下さい。
ふつうのやかんでもコーヒーは淹れられますが、我が家にはもともとやかんが無く、コーヒーの為に新たに買うので、ドリップケトルにしようと思いました。
んでAmazonで探しに探して好みものを吟味して最終的に買ったのがこちら。
こちらは黒なのですが、実はコレの色違いで紺色でわりと程度の良い品がメルカリ(フリマアプリ)で売ってたんですね。
私はメルカリの売上金があったので、メルカリで買えば新たな支出にはならないからそうしたかったのですが、メルカリのやつが2800円。Amazonの新品が約3800円。
差額1000円分のメリット(安い、支出にならない)とデメリット(中古、色は黒が第一希望なので紺だと嫌ではないが決めかねる。)を天秤にかけて「どっちだどっちだ~?」と悩んで悩んで1週間。
なんと私は寝言でも「ケトル…」と言っていたらしく、見かねた夫が
「ニニちゃんの性格だとさー、1000円浮いたことはしばらく経ったら忘れそうだけど、『黒が良かった』ってことは紺色のやかんを観るたびに思い出すんじゃない?この先ずっとやかんを観るたびに『黒が良かったな~』ってチラッと思う後悔は1000円以上のダメージなんじゃない?倍くらい値段が違うなら迷うけど、1000円くらいだったら高くても黒の方買った方が俺は良い気がするけどな~。」と助言をしてくれて「たしかに!!」と納得しました。
そうなんですよね。私の場合、買った物の値段は結局すぐ忘れるので、安くても嬉しいのはその時だけ。第一希望の物を買えば、その時は出費が辛く感じるけど、それを観て生活する「嬉しい」がずっと続くんだからいいのか!と思い、納得したので、Amazonで買いました。
このケトルは本当に使いやすいです。持ち手があまり熱くならずに素手で持てるし、形の安定性と美しさは申し分ない。2か月使ってますが、毎朝起きてコイツを観るたびに「あ、かわいい」と思ってキュンとします。
そしてこれで念願の自宅コーヒーを飲むたびに「あー幸せ」となるので、差額1000円のデメリットはすでに埋まった気がします。
やかんは基本出しっぱなしで、鍋やフライパンが出てると台所に散らかった感が出ますが、このやかんはそんなに散らかった感がないのでやはりシュッとした黒のおかげかと。
こんな。
うん、かわいい。
野田琺瑯のドリップケトル買ってよかったです。
その③ 白木屋傳衛商店の「はりみ」ちりとり
引っ越しの時にそれまで使ってたふつうの100均のほうきを捨てたので、引っ越してすぐに新しくほうきを買いました。
100均のものはふつうに全長が90センチくらいなので、掃除の時いつも腰を曲げたお辞儀スタイルで使っていたのですが、新しいのを選ぶ時に夫が「あなた腰弱いんだから、立ったまま履けるほうきが良いのでは?」というアドバイスをくれたので柄の長い棕櫚(シュロ)ぼうきというのを買ってみました。
こういうやつ↓(Amazonではなく近所のホームセンターで購入。)
これだと確かに柄が長く、お辞儀スタイルではなくレレレのおじさんスタイルで掃けるので、腰に負担がかからず「良かったね」となったのですが、この棕櫚のほうきは見た目が大変美しいんですね。機能美というか。
なので、それまで使ってたこれまた100均の黄緑色なプラスチックちりとりと並んで置いておくとなんだかアンバランス。
ほうきセットはなるべくすぐ使えるように常時台所に出しておきたかったので、見るたび「ちぐはぐだ」と思うのが嫌になってきて「ちりとりも買い換えよう」と思いました。
それで毎度お馴染みAmazonさんの出番。
「ちりとり おしゃれ」で検索すると、数々のちりとり画像が出てきました。
最初いいなと思ったものはアンティークなブリキ風のもので、それを買おうかと思ったのですが、洋風のアンティークブリキのちりとりが純和風な棕櫚ぼうきと並んだところを想像すると、やはりどこかちぐはぐな気がしました。
せっかく見た目を追求して買い換えるのに、ちぐはぐではいけない。
私はこのへん執念深いので、しつこく1日がかりで探すもなかなか見つからず、諦めかけたその時、ふと「棕櫚ほうき ちりとり」で検索してみたらよいのでは…?と思いつきました。
そもそも「棕櫚ほうきに合うちりとりを」という目的で探していたので、初心に戻ってそのワードで検索してみました。
そして出てきたのが「はりみ」というこちらのちりとり。
一目見た瞬間に「あ、これだ」と思いました。
説明書きとレビューの高評価を読みさらに惚れこみ、即決で買いました。
届いてさっそく使ってみると、これがまぁ使いやすいこと!
厚紙を張りあわせて柿渋を塗った紙で出来ているので、ヘリが薄くて床にぴったりと沿って、ゴミがスムーズに中に入る。
棕櫚ほうきと合わせて使う人が多いとレビューで読んだ通り、ほうきの毛幅と入り口のサイズが相性ばつぐん。
そして紙製のため静電気が起きにくく、ゴミを捨てる時もゴミがスッと離れて落ちる。もう完璧。
極め付けは、棕櫚ほうきと並んだ姿のしっくり感!
これどうですか、お似合い過ぎてもはや熟年夫婦ですよね?
「君たちはおしどり夫婦なのかい?桑田圭祐と原坊なのかい!?さてはペーパー夫妻なのかーい!!??」と語りかけてしまうほど長年連れ添ったパートナー感に、私は感動すら覚えました。満足。
白木屋傳兵衛商店の「はりみ」買ってよかったです。
とまぁ、以上3点が私が今年買って良かったと思う品でした。
この3つはやかんとちりとりとポスターという、まぁ「無くてもなんとかなるっちゃなる」な物なんですが、無くてもなんとかなるものをわざわざ買うからにはこだわりたかったんですよね。
で、一点一点買う時に悩んで探して考えたせいか、愛着のあるペットみたいな感覚で我が家に存在してます。
夫婦2人暮らしなので、家族の人数が多いお家に比べたらにぎやかではないかもしれませんが、愛着のある物に囲まれて楽しく暮らせたらいいなと思います。
ではまた。
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