限りなく透明に近いふつう

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近況

 

1年前の自分に「来年のあなたは離婚して一人で暮らしているよ」と告げたら

どんな顔をするんだろう。

信じないか、信じるとしても、円満にその状態を作り上げるために

自分がどう立ち回ったらうまく事が運ぶんだろう?ということに

思案を始めてしまうか、多分そんな感じだろうと思う。

2020年

1月にふと予感がして、4月に自分の中で確信になって、

6月に相手に告げて、12月に確定した離婚。

 

想像以上に大変だった部分と、想像以上にあっけなく済んだ部分とがあって、

全部が終わって一番思ったことは「勉強になった」だった。

 

今年の1月、月末から住むつもりの一人暮らし用の部屋を探している時

不動産屋の車に乗っていると運転席の若い営業マンはもじもじと言った。

「あの、失礼ですけど、その、ご離婚は確実にしますか……?」

離婚に伴う名字の変更は賃貸契約に際して最適な時期がいつなのか疑問だった私は

、そういうのは現場の人に聞くのが一番だと思ったので車内で既に聞いていた。

そのあと、天気の話とか職場までの距離の話とか、なぜか営業マンの飼っているハムスターの話もはさまって、少し沈黙があった後に彼は先述の質問をしてきたのだった。

私が(変な聞き方をするなぁ)と思いながらも、素直に「そうですね」と答えると営業マンは、すんなり答える人で良かったな、の気持ちが透けるような安堵の声で

「あー、あのですね。ぶっちゃけてしまいますとですね。夏から後、すごく多くてですね、コロナ離婚。」と話しはじめた。

「はぁ」

「そいで、コロナ離婚の特徴がですね。ドタキャンなんですよ。」

「ああ….。」

私は質問をされた意図がここで分かり、その後の説明もそうだった。

ようは、コロナ以降、パートナーを見つめなおした結果「この人とはもう無理!」となった妻が一人着々と離婚準備を進めるべく部屋を探すのだと。

しかし準備が整い、いざ契約に差し掛かろうという段で夫に切り出した結果これまでにない深い話し合いが持たれ、夫婦再構築の道を選ぶケースが多いのだと。

「いや、僕はいいとですよ、別に。直前でキャンセルなりましたーでも、一組の夫婦が離婚せんで済んだと思ったらよかったよかったですよ。でも、営業マンとしては契約書類一式作っとりますもんでね。それがパーでしょ。だからまぁ、その、確実度の高さというのは知っておけたら、その、仕事の段取りやなんかも変わってくる部分があると言えばあるというか…まぁ、そういうわけでして」

 

私は「本当にすごくぶっちゃけたな。」と思いつつ「なるほどねぇ」とも思ったので

「貴重なお話をありがとうございます」と言った。

 

業界人からこういう「なるほどねぇ」な話を聞くと、これまでは「帰って夫に話そう」と思うのが癖だったけど、その時は思わなかった。

思わなかったし、思わなくなったことにも気が付かなくて、今これを書いてるから「そういえばそうだな。」と気が付いた程度だ。

手放しても寂しくないのが不思議だけど、離婚して一か月の間も実際に寂しくなくて、

帰ったら一人の時間が待ってることに朝からワクワクする毎日。

12年間、ずっと好きだったし、仲良く暮らせていたのに、なんだったんだろう。

結婚しなきゃよかったとも思わないし、結婚で得られる幸せは確かに味わえた。

でも、私は自分とおなじくらい大事に思えなくなったということには気が付いてしまったので、これは一緒にいたら悪いことになると思った。

だから結婚生活を終わりにした。

 

とりあえず、今月の私は「自分のしたいことに気が付く月間」をしている。

レイトショーに行く。仕事帰りにサウナに行く。仕事を持ち帰って家でやる。壁に絵を飾る。ベランダで植物をたくさん育てる。お風呂で漫画を読む。その時アイスも食べる。瀧川鯉八のDVDを買う。徹夜でYouTube観る。コンセントさしっぱなしで暮らす。iPhone充電したまま寝ちゃう。

自分の「欲しい」「したい」をすんなり実行に移す時

「あ、私こんなの我慢してたんだ」ということに気が付いて笑う。

こんな簡単なこと、こんなちっちゃいこと。

我慢してもしなくても相手は気づいていないようなことなのに、なんとなく夫が嫌がりそうだと思ったらしないようになっていた。

そういうの全部やっちゃうもんねー。

 

 

1年前の私もそれなりに幸せだったけど、いまは、お風呂でハッピーマニアを読み返しながら「ふるえるほどのしあわせ」ってこれかもなぁと思いながら暮らしてる。

幸せとは「今の自分が一番好き」と心の底から思えることかもしれない。

 

3月8日国際女性デーによせて。

お題「#この1年の変化」