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限りなく透明に近いふつう

やさしい鬼です お菓子もあります お茶も沸かしてございます

女子大生に電車で尻を固定された話

 

けっこう昔の話なんですけど、今週のお題の「電車内での心温まるマナーの話」というのに心当たりがあるのでちょっくら書いとこうと思います。

あれはたしか15年くらい前のこと、私がハタチくらいの頃の話ですね。

当時、私が普段使ってた駅の隣の駅のそばには女子大がありました。

その路線の登り電車は私が乗る駅までは利用客がそう多くないので、平日15時くらいの中途半端な時間に乗ると、たいてい車内の乗客は3.4人くらいのガラガラ状態でした。

でも、そんなガラガラ電車でゆったりとした気分のまま過ごせるのは次の駅までの間だけ。

なぜなら、その女子大のある駅を境に電車内の空気が一変するからです。

そう、いつも女子大駅から乗り込む大量の女子大生パワーにより車内は女子大の構内と化してしまうのです。

彼女たちの勢いは本当にすごかった。

若い女の子の喋り声というのは、4.5人程度がキャイキャイしてるぶんには「多少騒がしくてもご愛嬌」という感じだと思いますが、彼女たちの場合、数が多すぎました。

おそらく1人1人だったらそんなことにはならないのかもしれませんが、人はマジョリティーになった時、無意識に傍若無人になるおそろしい生き物でございます。

だから車内人口の8割以上を占めた女子大生達は、チャーリーズエンジェルのようにヤンチャでした。

大声で話したり、裸足で椅子に乗ったり、お菓子を広げたりするのは当たり前。

車両の端から1人が大声で「誰か8×4持ってる~!?」「あるよー!」「投げて〜!」「オッケー!」ポーン、コロコロ「あはは!!!」なんて光景もザラにありました。

うるさいのです。とにかくわんぱくなのです。

私がもし若い子大好きおじさんならそういった甘酸っぱい8×4の香りや彼女達の金切声を「むふふクンクンたまらんZ」と楽しめたかもしれませんが、私は当時彼女達と同じくらいの小娘でした。

だから逆に同族嫌悪というのでしょうか、私はいつも彼女達のことを「ほんとうるさい…なんなのこの子達…」と苦々しく思っていました。

その頃の私のことをもう少しお話しますと、この頃の私はややトンガっていました。

 

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 いえ、そういう事ではなく、人として尖っていたんです。ララバイララバイおやすみよ、のほうのやつです。

つまり、今でこそ身なりにかけては「人畜無害」をモットーとしている私ですが、その頃はまだ、肌も出したい髪も染めたいメイクも盛りたい、見たい聞きたい歌いタイ!

そういうさかりだったんですね。

どギャルではなかったのですが、それなりに茶髪にして、ミニスカートや15センチヒールを履いて…ああ、もう説明が面倒くさいので写真載せときます。

この程度の中途半端な感じでした。

 

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で、まだギリ実家に住んでいたので、親に「髪が赤すぎスカート短すぎ」というありふれたお小言を言われ、私も「うるさいなー私の勝手でしょー」というありふれた返しをして、ようするにまだ親をはじめとする大人への反抗心の残り火を、心に携えていた頃でもありました。

ひるがえって、そこの女子大生達身なりときたら、なんとまぁ全体的に薄ピンクなひざ丈か。

みんな白or黒orベージュを貴重としたパールのついたツインニットとか着て、髪色もメイクも楚々として、どこに出しても恥ずかしく無いお嬢様方という感じなんですね。

かたやこちらは実の親にも「夜鷹か!」と言われる恰好ですから、きっと巣鴨に居るおばさま100人に「息子が連れてきたら追い返すのはどっち!?」って聞いたら99人が私を指差すでしょうね、ええ。

つまり、私と女子大生たちは見た目と言う点では明らかに「異種」で、そして世の中的にもし私と女子大生を「いい子・悪い子」に分けるなら、絶対私のほうが「悪い子」に分類されるっていうのは分かっていたんです。

すでに色んな場面で大人からはそういう扱いをされていましたから。

 だからこそ、この電車内の女子大生たちのワイワイガヤガヤな状況は、私にとって余計に腹立たしかったんです。

その気持ちとしては

私は身なりが派手でも公共の場で人に迷惑はかけないぞ、と。

身なりが清楚でもこんなにマナーの悪い子がここにいるぞ、と。

そういう感じ。

大人たちはいつもどっちが良い子か悪い子か見た目で判断するでしょう?

本当に見た目が真実なの!?今のこの状況を観てみなよ!?

大人はなにも分かってないよ!

先生あなたはか弱き大人達の代弁者なのか!

夜の校舎盗んだバイクで窓ガラスかち割ってミラジョボビッチ登場のバイオハザードなのか!と。

最後よくわかりませんが、要するに私は、普段は周囲が私に対して「こういう女子になれ」と引き合いに出すような「身なりの整った女子達」が、やってることは「見なりの乱れた私」より、悪いじゃんよ!という苛立ちをいつもその車内では感じていたんです。

 で、そんなある日の電車内での出来事。

私はまた彼女たちと乗り合わせてしまって、いつもの喧騒から逃れるためイヤホンで音楽を聴き、夏だったのでサングラスをして、大人しくシートに座っていました。

すると女子大駅の次の駅で、1人のお年寄りが乗ってきたのが分かりました。

杖をついたお婆さんでした。

車内の乗車率はシートが全部埋まってて、立っている人が10人くらいいる感じです。

端のドアから乗ってきたお婆さんは空いている席がないか見ながらゆっくりとこちらへ歩いて来ました。

図にするとこういう具合です。

  

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 PCからじゃないと小さくて分かりずらい図になってしまいましたが、〇は人を表しています。そんで左下の赤丸が私で、右の赤丸がお婆さんです。

〇は全員ではありませんが、ほぼ女子大生です。

 私はこの状況で、それまでの静かな苛立ちが、とうとう怒りに変わりました。

なぜかと言うと、おそらくお婆さんは右上のドアから乗って来てると思うんですが、このオレンジのゾーンらへんに座っている女子大生が一人も、ただの一人もお婆さんに席を譲らなかったからです。

譲らないどころか、お婆さんに気付いて「譲ろうかな…」という素振りが伺える子もいなくて、みんな相変わらずおしゃべりしてたり携帯をみてたりしたまんま。

「こんなに杖も突いて明らかなお婆さんが乗ってきているのに、この子らまじか!?」

私は彼女たちのマナーの無さにさすがに怒りがこみ上げました。

で、いても立ってもいられなかったので、私は立ち上がってお婆さんの所まで行き、声をかけました。

「あの席、もし良かったらどうぞ」

「ああ、わざわざどうもねぇ、助かります。」

お婆さんは普通に嬉しそうに席に座ってくれました。

今思えば、この時の私はお婆さんに親切にしたい優しい気持ちだけでなく、同じくらいその裏で汚い気持ちも働いていました。

つまり、女子大生達に対して「見てやがれ」的なイジワルな気持ちがあったんです。

その証拠に、私が席を譲ったところを目当たりにした私の近くの女子大生の何人かが「あ…」という表情をしたのを見届けた時、私はスッとした気分になりました。

「スッとした」ということは、席を譲ったのが親切心オンリーからじゃなくて、女子大生に反省を促すため「善い行い」を自分がしてみせる、その道具にお婆さんを利用して、表面的にはそれが「親切」に見える行為だった、だけです。

だから、ここまで話が終わると「なにが心温まるマナーの話桜島!お前のは自己満偽善行為だろ!」って怒られちゃう話なんですけど、まだ続きがあるんですよ。

 私は席を譲った後特有の気恥ずかしさもあり、そそくさとドアの前で立って外を観ながらただ到着駅を待ちました。

車内の様子は見ていませんが、相変わらずイヤホン越しには女子大生たちの喋り声が響いていました。

私は少しスッキリはしたものの、やはり彼女たちの声を聴いていると反発心が刺激されるので目をつぶってイヤホンから流れる音楽に現実逃避をしていました。

図にするとこうです。

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 別に図にする必要が無かったかもしれませんが、とにかくこんな感じでいました。

すると、私の肩がちょんちょんと突かれて誰かに「すいません」と声を掛けられました。

「え?」と驚きつつイヤホンを外しながら振り返ると、1人の女子大生が立っていて、私にこう言うのです。

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女子大性 「あの、席が1つ空いたのでどうぞ…」

私(????な、なん?)と思って、その子が指し示す座席を観ると 

 

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こうなってたんです。

一瞬意味が分からなくて「え?ああ、え?」となっている私に、お婆さんが言いました。

「この子らが詰めてくれたから、あなたも座れるよ。ここ座りんさい。」

 

 

なんということでしょう~!

匠の技で7人掛けの椅子が8人掛けに早変わり~!

 

って違います。

つまり私が譲った席のあるシートに居た女子大生の一人が、他の子全員に声を掛けてギューっと詰めさせ、無理矢理あと1人座れるスペースを作り出していたのですよ!!

言われてみれば喧騒に耐えている時、かすかに「そこ詰めて」とかいう声が聞こえてました!納得!

状況が呑み込めた時の私、顔真っ赤だったと思います。

でも女子大生も皆真っ赤でした。

なんだよ!いい子達じゃんかよ!なんだよ!

そして私に声をかけた女子生が先にその隙間に座り、私は(尻入るか?)と思いつつその0.8人分くらいの隙間に「へへ、どうも」と座らせて頂きました。

やっぱり隙間はちょっとはキツかったんですが、尻を押し込めてたらお婆さんが「だいじょぶ、みんなはババアと違ってちっちゃいお尻だからね。座れる座れる。」と言ったので、思わず女子大生も私も一緒に「あはは」と笑いました。

 その笑いで場は和み、女子大生と私の垣根が無くなったような感じがしました。

お婆ちゃんありがとう!そして女子大生ズもありがとう!

 

この件があってから、それ以降も電車に乗ると女子大生集団のうるささは変わらなかったんですが、私も前よりは生ぬるい視線で眺めていられるようになりました。(暖かい視線まではいかないけど冷たい視線でもないという意味)

それに今でも私は電車に乗ると、この時の尻のキツキツな固定感を思い出しては心が温まります。

あの時の女子大生達もどこかで尻のキツキツ感を思い出してるといいなと思いますね。

そういう話です。

って、これ今日はJR西日本が企画した「電車内での心温まるマナーの話」っていうことで思い出して書いたんですが、ふつうにJRの人に「規定以上の人数で座らないで下さい」とか言われたらマナー違反の話ですかね、今気が付きました。

ありゃりゃ。まいっか。

では、今日はこのへんで、次回からはいつも通りギスギスした話を書きますのでよろしくです。

 

特別お題「心温まるマナーの話」 by JR西日本
http://blog.hatena.ne.jp/-/campaign/jrwest