限りなく透明に近いふつう

やさしい鬼です お菓子もあります お茶も沸かしてございます

女装男が笑われる理由が分からないという話

 

私はこのブログを始めた当初「思いついたことを思いついた時に文章にして人に見せて心すっきりしたいなぁ」と思ってました。

でも実際は、思いついたことを頭の中で煮詰めに煮詰めて、もはや煮崩れてる?いや、腐ってる…?みたいな不安が漂うまで料理した末に「食べられるといいんですけど…」みたいな気持ちで公開するのが習慣になってしまって、当初の目標が全然達成できてないことに「とほほ」と思ってます。

というわけで、今年こそは思いついた事が半煮えだろうと、とりあえずは皿に乗せてしまえば料理だろう的な精神で、ブログを書いていこうと思います。

今年もよろしくお願いします。

 

さて、最近、昔に比べて「警視庁24時」的な番組がしょっちゅうやってる気がします。

しょっちゅうやってるので、いつの放送だったか忘れたけど、昨年やってた警視庁24時的な番組にムカついた場面がありました。

それは、下着泥棒が連発しているという地域を巡回するパトカーにカメラが同行してる時でした。

夜道を歩く、ミニスカートを履いた背の高い人物の後ろ姿が映し出されて、「深夜、パトロール中に怪しい人影を見つけた」というシブい声のナレーションが入りました。

警察官達がその人に職務質問をする段になると、画面右上には「深夜に怪しい人影…実は○○」というテロップが出て、顔にモザイクのかけられたミニスカートの人は、ややゴツい脚の形から察した通り、女装した中年男性でした。

ナレーションは、同番組で車から大麻が見つかった時の深刻なトーンとはちょっと違う、少し茶化した感じの声で「なんと女性の正体は、男!」と言い、警察官も「あれ、あんた男かい!?」と半笑いのような感じで言いました。

そして警察官はさっきまでの形式的な口調から急にくだけた口調になって「なんで夜中にこんな格好してるの?」「下着は女物なの?」とズケズケ聞いて、女装おじさんの持ち物検査が始まりました。

「この男、怪し過ぎる…」というナレーションが入って、持ち物検査の場面が進みましたが、結局、女装おじさんには何の非も無く、単に夜中に女装して歩くのが好きなだけのおじさんでした。

しかし、それが分かって解放されるくだりになっても警察官は「お父さん、そんな足出して寒くないのかい笑」「こんな格好してないで、もう帰りなさいよ」という、一応「心配する警察官」の体裁を取ってはいるものの、よく考えたらよけいなお世話だと言いたくなるようなことをおじさんに言い、闇夜に消えてゆく女装おじさんの後ろ姿と「まったく人騒がせな女装男であった」というナレーションでそのくだりは締めくくられていました。

これを観ていて私、ムカムカしました。

だって、結局女装おじさんは何も悪いことしてなくて、好きな格好して夜出歩くのが趣味なただの市民だったんですよ。

そこを職質されて、まぁそれが普通の警察官としての礼儀正しい職務質問だったらまだ許せるものの、警察官は軽く小馬鹿にしたような見下すような口の利き方になってたし、シロと分かった後もそれが続いてて、なんかそれがおじさんに対してとても失礼だと思いました。

テレビもテロップやナレーションで散々「怪しい」と煽っておいたんなら、最終的におじさんがシロなら「巡査の勘が外れた」と言うならまだしも、「人騒がせな女装男だ」と、まるでおじさんのせいみたいなナレーションで締めくくってて、私は「勝手に騒いだのはそっちだろうが、おじさんに謝れ」と思いました。

 ようするに私は「女装男の市民権が低く見積もられておる!」という事に、ムカついたんです。

警察官の口調には「女装なんかしてる中年男にまともな口を利くのが馬鹿らしい」というような意識が透けてたし、番組の編集にも「女装してる中年男」の存在を「悪人ではないけど、こういう変態の応対も警察官の仕事にあるんですよ〜」みたいな、箸休め的な役目に使ってる感じがして、私はそこで世の中から「普通の市民」として存在することを認められない女装男性の扱いに、ムカついたんです。

 なんで私は腹が立ったのかなぁと考えてみると、そもそも、私は昔から「男の人がスカートを履くと笑われる」という現象がいまいち理解出来ない子供でした。

中学校と高校の文化祭の出し物で、男子が女装してステージで踊るみたいな演目があったのですが、男子がその姿で登場した時、その日1番の大きな笑いと歓声が起こると、私は「えっ、ここ笑う所なの?」という感じがして「みんな何が面白いんだろう?」と本当に不思議でした。(今も不思議です。)

私は子供の時から「女の人はズボンを履いても笑われないのに、男の人がスカートを履くと笑われる。」という、非対称性にしっくり納得出来てなくて、いつもそういう場面で笑ってる同級生とかは、私が保育園や小学校を休んだ日に「男が女の格好をしたら変なんですよ。そういうのを見た時は笑いましょう。」という風に先生に教えられたりしたのでは?と思ってしまうくらい、なんでそこで揃いも揃ってみんなが女装男のことを「変」とみなしてるのか、本当に分からないんです。

だって、服装なんて個人の自由で、私も履いてるスカートを、男の人が履いたら「変なのー」と言う理屈が分からないんですもん。

「スカートを履いてること」が変なら、「スカートを履いてる私も変」ということになるんですもん。

どうも私には「男なら男にふさわしい格好、女なら女にふさわしい格好」という概念が無いらしく、「私は女だからスカート履いていいの、男はダメなの」という理屈に、性別で決められた特権を振りかざす匂いがして、「なんかヤダ」と思ってしまうんです。

世の中に同意見の人数が多いことが「普通」とされるなら、私の方が普通ではないのは分かってます。

でも最近テレビを観てると、綺麗な女装姿の男の子がよく見られます。

今、ドラマで月9の「海月姫」と、NHKの「女子的生活」を観てるんですが、たまたまこの2つの作品には女装男性が出てきます。

女装した瀬戸康史くんも志尊淳くんも、まぁ素晴らしく綺麗で、普通に私は「似合うなぁ」と思って観てて、Twitter観ててもそれは皆、同感らしくて、沢山の人が彼らの女装姿を褒めてます。

それで、私ははじめのうち、世の中に昔よりは女装に対して「笑う」以外の受け止め方が生まれてきたのかな、と少し嬉しくなりました。

でも、Twitterの中には「瀬戸康史の女装アリだな」という、その人の中での「アリ・ナシ」判定をクリアしたのだと分かる発言もよく見かけるようになってきて、「やはり、女装姿というのは『ナシだったら笑う』で『アリだったら笑わない』という判定を用いられてしまう対象なんだな」と思いました。

「アリだったら笑わないけど、ナシだったら笑いものにする」という判定は、昔から女の人の容姿には用いられてきたひどく失礼な判定です。

女装男性が出てくるドラマが増えてきて、私は世の中で女装はポピュラーなものになりつつあるというか、「女装=物珍しいもの、変態」といった見方が無くなってきた感がして、少し嬉しくなったものの、それは決して世の中に私みたいな「男の人が女の格好をして何が面白いのか?」という人が増えたわけではなく、単に「見た目が綺麗なら自由な言動が許せる」という、昔から女の人が世の中にされてきた判定が、女装男性にも適用されるようになってきただけのことなのかなと思いました。

だから「女装したおじさんは笑い者にされて、女装した綺麗な男子は笑われなくて済む」という現象に落ち着いてるだけで、世の中が決して「服装は個人の自由、性別ごとの服装縛り?バカらしー」という意見に変わってきたわけではないから、なんだ、やっぱり私とおんなじ気持ちの人ってあんまし居ないのかなーと、ちょっと寂しくもなりました。

別に、私は同意見の仲間が沢山欲しいわけではないけど、少なくとも、女装してる人がおじさんだっただけで、小馬鹿にする警察官とか、馬鹿にしたような編集をする番組が沢山あるのは、嫌だなと思います。

普段は普通に男の格好して働いて、夜は時々可愛いスカート履いて出歩いて、ウキウキした気分を味わって息抜きしたいおじさんは何も変じゃないし悪くないですもん。

まぁ、ようするに、性別というものがあやふやになってきてる今、あやふやでもそれぞれが苦労して出した「答え」に沿って生活してるなら、お互いに人数の多さや少なさで、威張ったり、萎縮したりするのは馬鹿らしい気がするんです。

服装というのは、その「答え」が見えやすいところだから、そこを理由にとやかく言ったり、バカにしたりするのは「人の生き方に口出しする他人」ていう、超ダサい存在なような気がして、ダサいことしないほうがいいんじゃないの?っていう感じです。

 

煮詰まってないただの感想なんですが、そういうのを出してくことにしたので今日はここで終わります。

ではまた。