限りなく透明に近いふつう

やさしい鬼です お菓子もあります お茶も沸かしてございます

ありがとうさようならFoever21

 

 

人は誰しも、自分史の中で「この時期以降大人になったな」と思う時期があると思う。

それがちゃんと公式成人年齢の20歳な人もいるし、50歳超えてもまだ思い当たらない人もいるだろうし、人それぞれだと思う。

私の場合のそれは、31歳の頃だった。

31歳に色々あった。

ここでは割愛するけどまぁ色々あってわりかし成長した気がするので、自分史の中で31歳以前の私と、31歳以降の今の私は別人だと思うことにしている。

私が31歳だった年は世の中が2011年だった。

なので私が29歳だった年の世の中は2009年だ。

2009年といえば原宿に日本初上陸のForever21が出来た年だった。

 

その頃よく遊んでた女友達がわりとウェイウェイしていたので、私はすぐに「一緒に行こうよー!」と誘われ、オープンしたてのForever21原宿店に行った。

 

初めてFoever21の服を見た時の感想は「アホっぽくてかわいい」だった。

色の組み合わせがアホっぽい。

柄もアホっぽい。

肩が出るデザインが、へそが出るデザインが、足が出るデザインが、アホっぽい。

とにかく全体的にアホっぽいと思った。

分かってもらえると思うが、ここでいう「アホっぽい」は好意的な意味で使っている。

誰にも怒られないようにするなら、「キッチュ」「コケティッシュ」「アバンギャルド」などを駆使して褒めることも出来るのだが、それじゃあ私の真のFoever21愛が伝わらない。

それに私と同じようにFoever21を愛した人は分かってくれると思う。

Foever21はアホっぽい

この一文が賛辞であることを。

 

てなわけで、私はFoever21のファンになった。

頻繁ではないけど、春夏物を見にと秋冬物を見にと、結婚式に着てく服が要るとかいう時に行った。

2年目で「Foever、夏物はペラペラ具合が涼しくてちょうどいいけど、冬物は寒い」と気がついてからは秋冬物を買う機会は減ったが、近くに行く用事があると売り場は覗きたくなって行っていた。

この花柄かわいい♡このショーパンかわいい♡など、たとえ自分が着れなさそうな服でも、見ていると自然と心に「♡」が生まれてきて、これが眼福というのか目や心の喜んでゆく感じが自分で分かる。

安いのにそういう気持ちになれる服屋は、当時ほかに無かったように思う。

 

31歳を過ぎて、大人になってからはFoever21で服を買う打率は4割くらいになっていた。

10回行ったらなんか買うのは4回程度で、全然ヘビーユーザーじゃない。

通販も何度か使ったが、着けてもチクビのエレクトを一切お隠しにならない「一体どうしろと言うのだ」状態の薄ブラジャーが届いて以来利用してない。

なんなら、お隣にあるH&Mでなんか買う確率のほうが高い。

でも何年たっても店の近くまで行くと、頭では「今日もたぶん買う物ないかな…」と思っているのに、足が自然とFoever21に向かうのが自分でも不思議だった。

 

思うに、あの明るくてアホっぽい店内は、私の中でそのまま明るくてアホっぽい女友達のような存在になっていたんだと思う。

擬人化すると、「酔って知らないメンズとすぐ寝ちゃう、妻帯者と気つかずメロッメロにはまってから妻帯者と気づく、貯金ができない、お花のカチューシャを躊躇なく付けられるetc…」そういう女の子。

会うと楽しいんだけど毎日一緒に居たらちょっとしんどい性格で、話すほどに「あんたはほんとにアホだねぇ…」と呆れることも多いが、困ってると聞けば結局助けたくなってしまう人懐っこい女の友達。

Foever21の店を出ると、そんな女友達と会ってアホ話をして解散した後のような清々しさが、いつもあった。

服も欲しかったけど、私はずっとFoever21ちゃんに会いに行ってたんだと思う。

 

私が思うFoever21とH&Mの関係性↓

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そんなFoever21が今月で終わる。

日本から居なくなる。

だからどの店舗もカオスなセールをやっている。 

そんな情報が流れ、Twitterで「まるでゴッサムシティ!」と目にしても、こちとらバッドマンを見てないのでいまいちピンとはきてないが、Foreverちゃんがなんだか荒れ果ててるらしいということは分かった。

私は急遽次の休みの予定を変更して、Foeverちゃんの元へ向かった。

雨だった。

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オープン30分後の店内は荒れ果てていなかった。

荒れるどころか閑散としていた。


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先月まで「いらしゃーすッ!」と元気に迎えてくれたForeverちゃんだったが、今日の彼女は力ない壇蜜のようにしっとりと「お越しやす…」と言った。

 

私「あのさ…もう会えなくなるってほんと?Foreverちゃん…。」

F「うん…さすがにね…もうアホみたいな事やってらんないっていうか。

LAのママも帰って来いってうるさいし…。ちょっと前からさ、ここらへんが潮時かなって自分でも分かって来てたし…。」

私「もう、バカっ!だから言ったじゃないっ!あんなに頑なにアホアホ路線を貫くからだよ!」

F「…ふふ、だよね…」

私「このフランス人は服を10着しか持たないの時代にさ!Foreverちゃんの服、全然着回せないじゃん!そりゃ10着に入んないよ!こんまりメソッドにも完敗だよ!もっとH &Mちゃんみたいにシンプルベーシック路線も取り入れたり戦略考えなきゃって、私あれほどッ…!!」

私が、自分でもコントロールを失うほどに溢れてしまう彼女への言葉を止めたのは、その目に光るものを見てしまったからだった。

ハッ!Foeverちゃん…

泣いてる…!?

 

責めたりしてゴメン。

一番辛いのはここを去っていくFoeverちゃん本人なのに…私ったら…。

 

てな感じの会話を脳内ですみやかに終えた私はFoeverちゃんへのねぎらいと感謝をこめて最後の買い物をした。

小一時間で終わると思ってたのに、店を出たら4時間経ってた。

最後にマジハンパねえわアイツ。

f:id:ninicosachico:20191029154924j:image買ったものたち総額3547円。物価とはなんぞや…。

 

ちなみにFoever21のショッピングバッグの底には聖書の一節が載っていて、これはオープン当初からあったと思う。↓

 

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これについて聞きたくて会計をしている時、店員さんに「これ、なんで載ってるんでしょうか?」と聞いたのだけど「さぁ」とのお答えだった。

あとどうしても気になったので「今月で皆様のお仕事は無くなってしまうのですか?」と聞いたら、韓流メイクのめちゃカワ店員さんはは他レジの女子店員さんをチラ見しながら「そうなんです。みんなバラバラに…」と答えてくれたので全俺が泣いた。

 

Foever21というブランド名は、「人生で一番輝く21歳の時の心を永遠に」という意味があるという。

原宿店が日本にオープンした10年前、めざましテレビだか王様のブランチだかのリポーターがこれを意訳し過ぎて「いつまでも21歳に見られるようなファッションが売ってます」とリポートしてたのを聞いた私は、もう最初から「ターゲット層じゃねぇじゃん」と思ったのを覚えているが、実際はそうではなかった。

実年齢が何歳でも、何かに「カワイイ♡」と心がときめく時、私たちは21歳どころかもっとずっと若返って心はもう中学生。

ためになったね~ためになったよ~。

29歳の子供な私の頃に出逢ったForever21ちゃんは、会う度に38歳の大人な私を子供に戻してくれた。

服を10着しか持たないフランス人に憧れ黒白グレーの服を「便利そう」と選ぶ私に、「確かに便利そーだけどぉ着ててつまんなくなーい?あとニニコべつにフランス人じゃなくなーい?」とか言いながらペラペラの花柄ワンピで近づいてきて、いつも一気に心を子供に戻してくれた。

私はそんなあなたが大好きでした。

最後に言いたい。

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10年間ときめきをありがとう!

 

 

※Foever21のラストセールは31日までやってます。

閉店詐欺じゃなく本当に閉店なので行ける人はFoeverちゃんに会いに行ってみよう。

 

 おわりでーす。(by三四郎小宮)